内科

生活習慣病について

乱れた食生活や慢性的な運動不足、喫煙や飲酒と言った生活習慣の乱れによって引き起こされる病気のことを生活習慣病と言います。かつては成人病とも言われていました。生活習慣病は、ほとんど自覚症状がなく進行していき、日常生活に大きな支障をきたすことがありません。進行すると、突如として我慢できないほどの痛みが現れ、脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる病気を発症させます。当院では生活習慣病が疑われる場合、保険適用で血液検査やレントゲン検査などの診療を行います。生活習慣病は若い方でも十分注意しなければならない病気です。「自分はまだ若いから大丈夫」と過信せず、ちょっとした違和感や不調がありましたら、小諸駅から徒歩3分の当院へご相談ください。

高血圧症

血圧計慢性的に血圧が高い状態が高血圧症です。血圧の高い状態が続くと血管に負担がかかり動脈硬化が進行していきます。動脈硬化が進行することで心筋梗塞や脳卒中、狭心症といった命に関わる病気を引き起こすリスクが高まります。高血圧症は自覚症状がほとんどないため、知らず知らずのうちに進行していることも多いです。自覚症状として、耳鳴りや肩こり、頭痛といった症状が出ることもありますが、こうした症状が見られる場合は脳疾患や心疾患などの合併症が引き起こされている可能性があるため、早急な受診をおすすめいたします。

高血圧の原因

高血圧は大きく分けて2つの種類があり、それぞれを本態性高血圧、二次性高血圧と呼びます。本態性高血圧は高血圧全体の9割を占めており、以下の生活習慣・環境要因・遺伝的要因によって引き起こされていると考えられています。

一方で高血圧全体の1割となる二次性高血圧は、使用しているお薬や疾患などによって生じる高血圧症です。
要因となる病気とお薬については以下の通りとなります。

高血圧治療

日本高血圧学会のガイドラインによる高血圧の治療を開始する血圧の基準値

家庭血圧で135/85㎜Hg、診察室血圧で140/90㎜Hgとされています。

日本高血圧学会のガイドラインによる降圧目標値

  • 75歳未満の成人 家庭血圧125/75㎜Hg未満 診療室血圧130/80㎜Hg未満
  • 75歳以上 家庭血圧135/85㎜Hg未満 診療室血圧140/90㎜Hg未満
  • 蛋白尿陽性(CKD) 家庭血圧125/75㎜Hg未満 診療室血圧130/80㎜Hg未満
  • 糖尿病合併 家庭血圧125/75㎜Hg未満 診療室血圧130/80㎜Hg未満

※血圧の数値は緊張や運動といった外的要因によって変動します。家庭血圧と診療時血圧で別々の数値が設けられているのは、病院などの外の施設では緊張しやすいため血圧が高めに、緊張がほぐれて落ち着ける自宅では低めに数値が出るという特徴があるからです。

血圧の計測

自宅で血圧を計測する場合は、毎日決まった場所・時間で測定することをおすすめしております。こまめに計測を行うことで、日々の血圧の変化などにも気付きやすくなり、生活習慣を改善することで血圧が正常値に戻っていく感覚がモチベーションに繋がります。

生活習慣の改善
  • 塩分過多にならないように塩分の摂取量を制限
  • 肥満解消のために適正な体重への減量・維持
  • 禁煙を行う
  • 飲酒量を減らす・禁酒する
  • 運動不足解消のために有酸素運動を習慣化する
  • ストレスの解消を行う
  • 休息・睡眠を十分取れるように心掛ける

主に上記の内容を行うことで生活習慣の改善を目指します。継続して習慣化できるように無理のない内容から徐々に行いましょう。ただし糖尿病や循環器疾患、腎疾患などを患っている場合は、糖質の摂取や運動の内容について制限が必要なことがありますので、当てはまる方は必ず最初に医師へ相談するようにしましょう。

降圧剤

血圧を下げて血管の負担を減少させる効果のあるお薬のことを降圧剤と呼びます。降圧剤は一時的に血圧を下げる効果がありますが、高血圧を根本的に解決するためには生活習慣の改善が不可欠です。健康状態や生活習慣を考慮し、患者様に合った降圧剤を処方いたします。

脂質異常症(高脂血症)

脂質異常症は、血液に含まれている脂質が血管に付着して、動脈硬化や動脈狭窄を引き起こす疾患です。具体的には、血中に含まれるLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の増加やHDLコレステロール(善玉コレステロール)の低下、中性脂肪の増加などが原因です。
脂質異常症は動脈硬化や心血管疾患のリスクを増加させますが、自覚症状はありません。健康診断などで異常を指摘された場合には、お早目にご相談ください。

脂質異常の基準値

  • 高トリグリセライド(中性脂肪)血症 ≧150 mg/dl
  • 低HDL(善玉)コレステロール血症 <40 mg/dl
  • 高LDL(悪玉)コレステロール血症 ≧140mg/dl(120~139 mg/dlは境界域)

脂質異常症の検査と治療

頸動脈エコー

動脈硬化や動脈狭窄の進行度や有無を調べる検査です。検査にかかる時間は10分程度で、首回りの血管にエコー(超音波)を当てて検査を行います。動脈硬化や動脈狭窄の他にも、心筋梗塞・脳梗塞などの重篤な病気のリスク判断ができる有益な検査です。

治療

主に薬物療法、生活習慣の改善で治療を行います。血中の脂質をコントロールするためには食生活が特に重要になるため、食事内容の制限は必須です。ただし脂質異常症はタイプによって注意するべき点が変わります。タイプごとに内容を下記でまとめておりますので参考にしてください。

高LDLコレステロール血症

悪玉コレステロールが増加しています。動物性脂肪(卵・肉など)を控え、海藻やキノコ、野菜といった食物繊維が豊富な食品を積極的に摂りましょう。青魚に関してはDHAやEPAといった不飽和脂肪酸が豊富であるため、おすすめです。
肥満傾向の方、糖尿病を合併している方は糖質の多い果物の摂取は控えめにしてください。

高トリグリセライド血症

中性脂肪が増加しています。暴飲暴食を控え、糖質の摂り過ぎに気を付けましょう。

低HDLコレステロール血症

善玉コレステロールが減少しています。ショートニングやマーガリンなどに含まれているトランス脂肪酸の摂取を避けましょう。また、植物油に多く含まれるリノール酸や、アラキドン酸の摂取も控えるようにしてください。

薬物療法

脂質異常症はタイプによって、処方するお薬が変わります。当院では患者様の生活習慣や健康状態を把握した上で、適した治療薬を処方しております。また、治療薬によっては肝障害や筋肉痛などの症状が現れる可能性があります。服用を始めて違和感がある場合などは、すぐにお知らせください。

糖尿病

糖尿病イメージ糖尿病は、血液中のブドウ糖の値が常に高い状態で、様々な合併症を引き起こす可能性がある病気です。人間が生きていく上で筋肉や内臓を動かすためにブドウ糖はエネルギーとして使用されます。飲食によって摂取されたブドウ糖は、膵臓から生成されるインスリンの力で生きていくためのエネルギーとして利用されますが、過剰に摂取されたブドウ糖はインスリンの処理能力を超えて血液中に残り、高血糖状態を生み出します。高血糖状態は血管に常に大きな負担をかけ続け、動脈硬化が進むことで、脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる病気を引き起こすリスクが高まります。また、毛細血管にもダメージを与え、足の壊疽や切断、透析の導入が必要な腎疾患、失明などの重篤な合併症を引き起こす危険性があります。

生活習慣病としての糖尿病

肥満・運動不足などの生活習慣が原因として引き起こされる糖尿病は2型糖尿病と呼ばれます。2型糖尿病は日本全体で糖尿病を患っている人の約95%と言われています。1型糖尿病はインスリンの分泌が正常に機能しなくなる糖尿病のことです。

糖尿病の治療

現在の医療では糖尿病を完治させる治療法は見つかっていません。基本的には食事の制限などを行い、生活習慣を改善させながらお薬を使用することで、血糖値を安定させます。慢性的な高血糖状態を改善することで合併症や動脈硬化が進行することを防ぎます。糖尿病治療は継続して行うことが大切です。当院では患者様とご相談しながら、生活の質をできる限り保てるように、治療方法をご提案いたします。

食事療法

血糖値を下げることが大切ではあるものの、日常で必要とされるビタミンなどの栄養にも気を使う必要があります。食事メニューを極端に偏らせず、栄養バランスを意識した食事を行うことが大切です。また、食べる順番を意識することによって血糖値をコントロールすることができます。また、外での食事は糖質の高いものが多くなりがちです。外食は予めルールを決めておき、メニューを考えるようにしましょう。

運動療法

有酸素運動と筋力トレーニングを継続して行うことで血糖値を下げることが可能です。筋力トレーニングによって全身の筋肉量が増えると、基礎代謝が増え、インスリンの効果を高めることができます。有酸素運動は継続的に行うことで血流が促進され、筋肉に流れ込む血液が増えます。これにより細胞内にブドウ糖が吸収され、血糖値を下げることが期待できます。ただし、合併症などがある場合は運動療法の方法が変わりますので、運動を行う際は医師と相談の上、現在の健康状態に適した方法を選択しましょう。

薬物療法

食事療法と運動療法を続けても、血糖値の改善があまり芳しくない場合は血糖値を下げるお薬や、インスリン注射といった薬物療法による治療を行います。血糖値を下げるお薬は膵臓への負担が大きくなる可能性がありますので、患者様のお身体の状態を見ながら、処方を行っております。

高尿酸血症(痛風)

痛風発作イメージ高尿酸血症は、慢性的に血液中の尿酸濃度が高い状態です。
高尿酸血症で起こる痛風発作は、足指の付け根に歩くことができない程の痛みを生じます。ただし、尿酸濃度が高い状態であっても痛風発作が起こらないこともあります。しかし、腎機能障害や尿路結石といった別の病気にかかる可能性も高いので、必ず治療するようにしましょう。

痛風発作について

尿酸濃度が高くなると血中の尿酸が結晶化します。結晶化した尿酸は関節に蓄積され、強い痛みを伴う関節炎を引き起こし、その後10日前後で症状が落ち着きます。関節炎の痛みは非常に強く、足の親指の付け根に痛みが出ることが多いですが、足の甲や他の関節に痛みを生じることもあります。痛風発作は尿酸濃度が高いことで起きやすいとされていますが、逆に急激な尿酸濃度の低下や激しい運動によって発作が引き起こされるケースもあります。尿酸値を安定させることで痛風発作のリスクを抑制することが可能です。

高尿酸血症の治療

関節に強い痛みを伴う痛風発作が既に発症している場合は、痛みを和らげる関節炎の治療を行います。治療は痛みが治まってから高尿酸血症の治療を行います。
また、高尿酸血症には以下の3つの型があり、それぞれ特徴が異なります。

  • 尿酸排出低下型…腎臓からの尿酸排泄に異常がある状態
  • 尿酸産生過剰型…体内で尿酸の生成が過剰に行われている状態
  • 混合型…上記2つの型の両方の特徴が見られる状態

上記の型によって尿酸生成抑制薬や尿酸排泄促進薬などのお薬を使用します。
尿酸は急激に低下することでも痛風発作を引き起こしてしまうケースがあるため、慎重にお薬を処方しております。
尿酸濃度を正常に保てるようになっても、一度できてしまった尿酸の結晶がなくなるまでには時間が必要です。そのため、定期的な通院と検査を受けていただきます。
また、高尿酸血症を患っていると尿pH6.0未満の酸性尿になりやすいとされています。
この状態は腎疾患や尿路結石を発症しやすいため、症状改善のために尿のアルカリ化を促進するお薬を使用するケースもあります。

以下は高尿酸血症の治療が推奨される尿酸値の値です。

  • 9.0mg/dl以上
  • 高血圧・肥満・糖尿病・脂質異常症・その他生活習慣病の方:8.0mg/dl以上

生活習慣

プリン体を摂り過ぎないようにし、肥満を防ぐためにウォーキングなどの軽い有酸素運動を行います。筋肉トレーニングをはじめとする無酸素運動は、体にかかる負担が大きく、尿酸値を増加させてしまう可能性が高いため、避けるようにしましょう。運動療法を考える際はまず医師に相談し、適切な運動方法の指導を受けるようにしてください。また、水分補給をしっかりと行い、尿の排出量を増やすことも効果的です。注意点として、腎疾患や心疾患を患っている方は適切な水分の摂取量が定められていますので、必ず医師と相談しましょう。

食事

プリン体を多く含む食品の摂取を避けることが大切です。プリン体が豊富とされる飲食物を以下にまとめましたので、食事改善の参考にしてください。

また、ビタミンCや乳製品、コーヒーには痛風の抑制効果が謳われていますが、過剰な摂取はせずにバランスよく、適切な量の飲食を行うことが大切です。

このページの監修者

髙橋 政義 Masayoshi Takahashi

髙橋 政義 Masayoshi Takahashi

医療法人社団 慈圭会 髙橋内科医院 院長

  • 日本内科学会認定医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
  • 日本肝臓学会専門医
  • がん治療認定医
  • 日本医師会認定産業医
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