肝疾患診療

肝炎について

ウイルス性肝炎は日本人の約50人に1人は見られる非常にポピュラーな病気です。ウイルス性肝炎の治療や診療には専門的な知識を持つ医師が必要ですが、肝臓専門医はまだまだ数が足りていません。

当院では肝臓専門医である院長が今までの経験をふまえ、ウイルス性肝炎の診療および治療を行っています。

定期検診を受けましょう

小諸市では2018年度から肝炎ウイルス検診が始まりました。
対象者は対象年度に40・45・50・55・60・65・70歳になる方です。
実施期間は7月~12月になります。検査は無料です。

当院では肝炎ウイルス診療の経験豊富な肝臓専門医の院長が検診の結果を判定いたします。異常があればそのまま当院で治療を受けることができますので肝炎ウイルス検診は当院にお任せください。

B型肝炎とは

B型肝炎はB型肝炎ウイルスによっておこる肝炎です。1か月から6か月ほどの潜伏期間を経て、発症します。母子間感染や乳幼児期の水平感染ではウイルスが肝臓に定着してしまうことが多く、一生涯にわたって感染が続きます。ウイルス保持者を「キャリア」と呼びます。

一方、成人後に感染した場合には1か月~2カ月で自然に治ることが多いですが、治癒後も少量のウイルスが肝臓内に残り、再発することがあります。

症状

主な自覚症状は発熱、体のだるさ、黄疸、食欲不振、吐き気などです。多くの症状は風邪と似通っていますが、一週間ぐらいで抜けてしまう風邪と比べると症状は長期化することが多いです。

ウイルスに感染した患者さんの約90%は肝炎を発症した後に治癒しますが、残りの10%程度の患者さんは慢性肝炎から肝硬変へと進行します。B型肝炎ウイルスの中には慢性化しやすい亜型があることが判明しています。

検査

肝炎の検査の基本となるのが血中のAST(GOT)とALT(GPT)です。この数値が高いということは言い換えれば肝臓の障害が高度である、つまりは肝炎が活発であることを示しています。

また、B型肝炎の検査でも診断の指標として使われることが多いのが「HBs抗原検査」です。B型肝炎では常にHBs抗原が陽性になります。

病気の進行度を測るには血小板数を調べます。血小板数が少ないほど肝臓の線維化(硬くなること)が進んでいることになります。10万以下ならば肝硬変、15万~18万程度なら軽度と診断されます。

治療

治療方針を立てるうえで重要になってくるのが年齢です。35歳を過ぎても肝炎が慢性的に続く場合は、その後悪くなることが多いので注意が必要です。また、男性は女性より危険度が高く、血縁者にB型肝炎の患者が居る人はリスクが高くなります。

B型肝炎の治療には「核酸アナログ」と「インターフェロン」があります。前者は強力ですが投与を中止すると肝炎が再燃しやすいというデメリットもあります。後者は効き目が穏やかですが、効果が出ると長続きしやすいという特徴があります。どちらにも長所と短所があるため、自己の症状に応じて薬を選ぶことが大切です。

C型肝炎とは

C型肝炎はC型肝炎ウイルスによっておこる肝炎です。2週間から6か月ほどの潜伏期間を経て、発症します。ウイルスに感染するといったん急性肝炎になりますが、その後約7割の患者さんが慢性肝炎になります。慢性化すると自然に治癒することは稀で、徐々に肝臓が固くなっていきます。

自覚症状は少ないですが病気は確実に進行していき、平均的に推移すれば20年で肝硬変、30年で肝臓がんになります。

症状

C型肝炎は他の肝炎に比べると自覚症状が少なく、本人が気が付かないことがままあります。典型的な症状は発熱、体のだるさ、黄疸、食欲不振、吐き気などです。

その他、手掌紅斑(掌が赤くなる)、肝臓の痛み、発疹などが現れることもあります。目に見える症状が出た時は、必ず一度病院で診てもらいましょう。

検査

肝炎の検査の基本となるのが血中のAST(GOT)とALT(GPT)です。この数値が高いということは言い換えれば肝臓の障害が高度である、つまりは肝炎が活発であることを示しています。

また、C型肝炎ウイルスに感染しているかどうかを調べる場合には、血液中の抗体があるかどうかを調べます。抗体がある場合は現在もしくは過去にC型肝炎ウイルスに感染していたことになります。

その後血中にC型肝炎の遺伝子があるかどうかを調べます。これが陰性ならば過去に感染していたことになりますが、陽性の場合は現在感染していることになります。

治療

現在はDAA製剤(直接作用型抗ウイルス薬)というウイルスの増殖を抑える内服薬を2~3か月間内服することによりウイルスを消失させる治療が行われています。以前使用されていたインターフェロンと異なり副作用も少ないため、ご高齢の方でも多くの方がこの治療を受けC型肝炎ウイルスが消えています。かなり高い確率でウイルスが消失しますのでC型肝炎ウイルスに感染している方は積極的にこの治療を受ける必要があります。
通院治療が可能であり、医療費助成の申請を行うことにより自己負担額は月額1万円または2万円となります。